5月20日 日創研東京センターにて、5月例会が開催されました。
例会に先だって、3月27日にお亡くなりになられた遊佐正義さん(西東京)に全員で黙とうを捧げました。
副会長の進藤耕一さんより開会が宣言され、会長の栗駒和訓さんよりご挨拶がありました。
栗駒会長からは、先日の千葉で行われた全国大会のお礼と、本日の例会で話される東京新聞に掲載された髙橋明希会員の紹介がありました。
担当である副会長の狩野刀根男さんから紹介があり、本日の講師である菅沼堅吾様のご登壇となりました。
東京新聞は正式には中日新聞東京本社が発行元の、中日新聞の全国ニュースを基にした関東ローカル版です。
その観点からだと大手新聞社に引けを取らないわけですが、東京新聞だけをみると発行部数50万部強、シェアはわずか5%にも満たない、私たちと同じ中小企業と見ることができます。
また、菅沼氏いわく、これまでの新聞は各社同じトップ記事を出すことを良しとしてきたところがあり、東京新聞も「ミニ全国紙」のような内容で存在感が低下していたため、今は全国新聞の側面に甘んじることなく「東京新聞」という独自の新聞、紙面づくりをしているということでした。
ミニ全国紙から決別しようとした時に出たのが「地域密着」であり、東京の限られた地域のニュースや地域経済の担い手である信用金庫や地元中小企業への取材に徹し、全国紙にはできない「絞り込んだ」紙面づくりをすることでその存在感を出しているということでした。
同時に、日本の99.7%、雇用の7割を担い、これからの日本のイノベーションのためにも重要な中小企業のことを伝えることが、地域新聞の役割であり、使命であろうということでした。
冒頭でも紹介された髙橋明希会員の武蔵境自動車教習所も「多摩の企業力」というコーナーで紹介されていました。
また、全国のニュースとともに限られた地域の自分達のことがニュースとして記事になっているということが大きな喜びであり、反響も非常に大きく、だからこそ地域新聞のキラーコンテンツは「訃報」や「同窓会」さらには地域の方の「赤ちゃん、子供」のニュースだということです。
そしてこの独自の「新しい新聞」をつくろうという思いと活動が決定づけられたのが「3.11」東日本大震災でした。
実はこの「3.11」が新聞にある2つの事柄を壊したことがその背景にありました。
新聞には「政治面」や「経済面」といった枠があるのですが、震災直後は関連のニュースを伝えていかなければならない中で、原発の問題が起こったことで現場は混乱し、どの記事をどの枠に入れれば良いのかわからなくなり、その枠を取っ払って新聞をゼロ(白紙)から作ることになったということです。
これがその後の「新しい新聞」づくりに影響したわけですが、震災が「新聞の”カラ(枠)”を壊した」ということでした。
この時、ではどのような新聞を作ろうと考えた時に出た答えは「一番困っている人、一番弱い人のために作ろう」というもので、一番弱い人つまり「赤ちゃん」であり、その母親のために記事を書こうということになり、原発による放射能汚染に関連する記事を書くことに徹したということでした。
このことが現在の誰のために何の為に書くのかという「編集意思」を確立させ、決まった枠に囚われず、現場の各記者の独自性を重視する新聞作りにつながったということです。
「3.11」が壊したもう一つは「お上」に対する信頼を壊したということでした。
それまでは政府を信頼し、政府が発表されたものをそのまま伝える「発表報道」というスタンスであったものが、震災による原発事故に関する報道をしていく中で政府の発表に疑いを持つようになったということです。
このことは、これまでの政治のスキャンダラスな裏側を暴くという「スクープ」の定義を改めることになり、権力がかくしているもの、知らされない情報を暴く、というスタイルに変わったということでした。
これら「3.11」による変化は新聞の原点回帰を促し、「真実がわかる新聞」という目指すべきブランド形成に結びついていったというお話しでした。
最後に、以前東京新聞に掲載されたある対談の中からこれからのリーダーに必要な「説得力」についてのお話しがありました。
自分のことばかり言うのではなく相手のことを考えて話せ、資料や文献は自分で当たれ(自分で当たるから新しい発見がある)、短いセンテンスでわかりやすく話せ、そして何よりブレないこと。
震災後に混乱した日本のリーダーはそれまでの「手練手管」を重視したリーダーシップであったが、今は「理念・哲学」を腹に据えてブレないことがリーダーにとって一番大事で、そうでなければ説得力に欠けるというお話しでした。
そしてこれが東京新聞がこれから生き残っていく道であり、読者から「ファン」にしていくことにもつながっていくのだというお話しでした。
新聞というなじみ深いものでありながら、仕事という観点からはどこか遠い存在、違う世界のように感じていましたが、私たちと同じ位置から読者=お客様と向き合う姿勢を知り、必要とされる志と信念、使命感について学ぶことができました。
菅沼堅吾講師、本当にありがとうございました。
また、お忙しい中ご参加頂いた会員の皆様にも感謝申し上げます。
【出席数】
会 員 :45名
オブザーブ:15名
合 計 :60名
千葉経営研究会さんからお礼のご挨拶がありました
先日行われた「全国大会 in 千葉」の副主幹としての協力に対して、千葉経営研究会さんからお礼のご挨拶がありました。
本当に素晴らしい大会で、貴重な体験と学びを得ることができました。
ありがとうございました。
「理念と経営」経営者の会のお知らせ
6月2日に行われます「理念と経営」経営者の会のお知らせがありました。
第4回東京・神奈川合同地区大会のご案内で、今回東京ブロック会長に就任された髙橋明希さん(経営戦略委員会)からお話しがありました。
今大会で、これまで4年間東京ブロック会長を務めてこられた田中正吾さん(経営支援室)から髙橋明希さんへの会長交代も行われるということですので、多くのご参加をお願い致します。
日 時 :6月2日 17:30~21:00
場 所 :ホテルイースト21
参加費 :3,000円(懇談会費含む)