6月11日、日創研東京センターにおいて6月例会が開催されました。
経営研究室 室長の塚本誠さんの司会で進められ、経営戦略委員会 委員長の笠原智久さんから開会宣言がされました。
続いて、今例会担当の経営理念委員会副委員長の鈴木恵子さんの発声によって全員での理念唱和を行い、栗駒会長からの挨拶、そして委員長の桝本幸典さんから講師の紹介があり、緊張感と講師への熱い思いが伝わり、会場の期待が高まりました。
今回講師をお願いしました井口一与さんは現在東京経営研究会の会員でいらっしゃいますが、設立メンバーとして総務会員拡大委員長をつとめられ、2000年には5代目会長に就任された、現在の会員にとっては大先輩にあたる方です。
会長時代は会員の拡大にご尽力され、現在の関東の経営研究会の礎を築かれました(「沿革」ページ参照)。
冒頭にも、この経営研究会での学びの良さと、ここでの学びと仲間との関わりがあったからバブル後の困難も乗り越えられたというお話しがありました。
ただ、これまでの経営において最も苦しんだのは商売やお金のことではなく、兄弟との軋轢、専務である弟さんとの経営上での衝突だったということです。
現在は実質的な経営の権限を弟さんに譲り、現場の指揮を任され、非常にうまくいっているということですが、それ以前は社長である井口さんの思いが伝わらず、このままでは会社がダメになると考えられたそうです。
しかし、この権限移譲によってうまくいき、そのことでご自身のそれまでのトップダウン型の経営に気づき、現場の主体性、自主性を重んじる「現場主義」の大切さと、それによって社員さんが成長し幸せを感じられるものだということを痛感されたということでした。
専務である弟さんも任されたことで「社長業」の責任の重さや難しさを理解され、現在の経営は任せていても井口さんが考えられていることと同じに進められており、とてもスムーズにいっているということです。
また、だからこそこれからは社員さんが率先して経営に参画していくようにならなければいけないこと、同時に経営者は確固たる理念を持ち、価値を高め自信を持って「ブレない」経営をしないといけないということを教えて頂きました。
そのためには親である経営者が良い習慣を身につけ、子供である社員さんに見せていくことだと言われました。
それは特に難しいことではなく、挨拶や笑顔など「当たり前のことをキチンとやる」ことで自分の中に生じる「気」が伝わっていくからだということです。
また、人は社会生活つまり外部の集団活動の中で育つものなので、お客様からのクレームなどは社員さんが一番学べる機会であり、そこで経営者が率先して範を示すことで伝わるということを教えて頂きました。
経営者自身も同じ「業界」に身を置かず、異業種と交わり、そこから「業界の常識」を打破していかなければ会社の成長は無いということです。
同時に、会社はそういった周りの人に支えられて成り立っているので、特に中小企業は一番身近な「地元」を大事にしないといけないということもお聞きしました。
後半は相談役の太田和隆さんを進行役として「経営問答」となりました。
井口さんと同じように兄弟で経営をされている方からの質問、No.1とNo.2との関係における悩み、さらには事業承継などの質問がありました。
事業展開や業態開発についての問答もあり、その中で井口鉱油のガソリンスタンドにおける流行りの「セルフ」に逆行して人によるフルサービスに徹することで潜在ニーズを掘り起こしたというお話が印象的でした。
また、今回は東京経営研究会20周年記念ということで5代目会長の井口さんをお呼びしたわけですが、同時に初代会長の高嶋民雄さん、3代目会長の髙橋勇さんにも参加頂きましたので、お二人からもお話しを伺いました。
お二人から井口さんの人となりやこれまでの関わりをお聞きしましたが、特に印象的だったのが三人がそれぞれのことを、どのような商売でどのような経営をしているのかまでをよく知っていて、本音でぶつかり合える仲間であり、設立当初のまだ人数が少なかった頃はそういった本音で互いの経営について話し合い、だからこそ学ぶべきことが多かったということです。
これからの東京経営研究会もそのような「実践」の学びの場であり仲間の集まりであって欲しいという言葉で締めくくられました。
副会長の進藤耕一さんから謝辞が述べられ、同じく先輩会員の金三津喜作さんによる閉会宣言で幕を閉じました。
講師を務めて頂きました井口一与さん、貴重なお話しを本当にありがとうございました。 また、ご参加頂いた会員の皆様にも感謝申し上げます。
【出席数】
会 員 :56名
オブザーブ:28名
合 計 :84名