5月14日渋谷区立商工会館において5月の例会が開催されました。
今回の講師は東京経営研究会の会員であり、経営支援室の副室長である田中正吾さんです。
田中講師は冒頭参加者に対して「何のために人財開発するのか」を問いかけられました。
これは田中講師が人財開発に力を入れることを決められた時に、ご自身に問いかけられたものです。
田中講師は愛媛県松山市の生まれで、18歳の時にスカウトされ役者を目指して上京、まずは歌手としてデビューされます。
その翌年には役者としてデビューされ、デビューがいきなりNHKの大河ドラマ、岩下志麻さんと共演というものでした（写真は田中講師自ら公開された当時のものです）。
その後も30歳までは俳優として活躍されましたが、限界を感じていた頃に、当時需要の大きかったビル清掃の仕事を始められました。
ビル清掃の仕事は安定した収益をもたらしてくれましたが、「３K」の仕事として見られていたこともあり、創業当初の社員が辞めてしまったりと、田中講師ご自身も「誇り」を持てませんでした。
創業して１０年経った頃にそのような迷いに陥り、日創研の研修に参加されます。
しかし、研修の学びの中でもその迷いは晴れませんでしたが、研修も終わりが近づいた頃に一緒に参加していた方に「今の仕事に誇りが持てず、嫌だ」とこぼしたところ、その方から「そんなことを言っている社長の下で働いている社員さんが可哀想だ」と言われ衝撃を受けます。
自分がこれまで働いてきたのは自分のためだけだった、自分のエゴのために経営をしてきたことに気づかされ、そこから180度転換して会社とそこで働く社員さんのために人財開発、教育に力を入れられることになりました。
まず理念を作られ、「仕事を通して、正しい人間を育む」という根本理念から大切な４つ価値観（仕事観、人間観、人生観、社会観）をもって様々な取り組みをされています。
また、これまでの人財開発の取り組みから「人財育成の前の段階（採用）」がとても重要であることを教えて頂きました。
学ぶことで人は成長しますが、「勉強」とは教わることであり依存関係にあるので、その依存の仕方（取り組み姿勢：ぶら下がり依存と積極的依存）を見極める採用をしなければならないとのことでした。
さらに「周りに気配りの出来る人」「私NOT OK、あなたOKの人」であること、これらの人は一見弱そうに見えますが、自信をつけさせれば育つ人材であり、重要なポイントだということでした。
人財開発で大切なことは、社員さんが「ありがとう」と言ってもらえるよう、人さまの役に立つ人間力を身につけることであり、これが社員さんが本当に欲しい「社員満足」だと理解して取り組むこと、仕事の中で人が成長する仕組みを作ることが「経営」だと教えて頂きました。
そして今回のテーマである「最強の組織」とは、共に学び実践する組織であり「学習する組織」こそが最強だということを教えて頂きました。
田中講師の講義に続いて、実際の現場で働く社員さん3名の方の発表がありました。
一人目はビルメンテナンス事業部の山下舞さんで、「アークビルサービスでの成長と仕事観」というタイトルでこれまでの経験とそこから学んだこと、成長、これからのことについて語って頂きました。
二人目は同じくビルメンテナンス事業部の唐澤知也さんで、入社までの経験体験から得たものが今の仕事にどのように活きているのか、また入社後に学びどのように成長したのかを語って頂きました。
三人目はフードサービス事業部の松崎一太さんで、アークビルサービスの重要な柱である飲食事業の統括責任者としての今の自分がどのように形成されたのか、理念の理解と気づきがいかに大切なものであるのかを語って頂きました。
最後は、田中講師と社員さん3人に登壇して頂いての質疑応答でしたが、時間の無い中たくさんの質問が出されました。
特に、しっかりとした発表をして頂いた3人の社員さんに対しては、会場の全員が驚きをもって質問を投げかけていました。
終了後に寺門副会長より謝辞が述べられましたが、その中で出されたアークビルサービスの人財育成が「個性を活かす」ものであるという言葉が、3人の社員さんを見て正にその通りだと誰もが実感したのではないでしょうか。
そして、田中講師もご自身で仰っていましたが、社長と社員というよりも、まさに何でも言い合うことができ、支えあう家族のような関係性を見ることができました。
講師をつとめて頂いた田中正吾さん、たくさんの会員の前で発表をして頂いた山下舞さん、唐澤知也さん、松崎一太さん、本当にありがとうございました。
また、ご参加頂いた会員の皆様にも感謝申し上げます。
来月は芳村思風先生による「魅力にあふれ、リーダーシップを発揮する10の条件」です。
是非奮ってご参加ください。
