7月13日、渋谷区立商工会館にて7月例会が開催されました。
担当は人財育成委員会、司会は副委員長の林松次郎さん、同委員の高橋純一さんが開会宣言されスタートしました。
狩野会長の挨拶の後、委員長の小暮邦彦さんから講師の紹介がありました。
今回の講師は福山経営研究会に所属され、本部のレクチャラーでもある荒井照三さんです。
荒井講師が社長を務められる株式会社インデップは、広島県福山市でミセスファッシン専門のアパレルメーカーとして年商50億円、自己資本比率が92%という「超」がつくほどの優良企業です。
父親の政善さんが52年前に創業された会社で、荒井講師は2代目になるのですが、大学卒業後は大手証券会社に勤められ、当時は父親が経営する会社を継承する意思はなかったそうです。
入社されて22年、社長になられて10年ということですが、入社当時に衝撃的なことが2つありました。一つは会議が無いこと、もう一つは挨拶をしないということでした。
会社に出勤してきても挨拶せずに黙って席につく、それが社長から社員まで全員が挨拶をしないという今では考えられない状態だったのです。
また、会議もまったくしないということもあり、とにかく当時は会社組織としてとても弱く、個人商店のような会社だったということでした。
さらに、商品も競争力が低く、新規の顧客を獲得することが難しかったため、業績は下降傾向でとても厳しい状態にありました。
荒井講師は証券マン時代に周囲からこれからは中国が世界の工場になる、という話を聞かされていたので、まずは会社の業績を上げるために営業活動をする傍ら、中国に足繁く通って中国での生産を可能にし、会社に競争力をつけることができました。
しかし、競争の激しいアパレル業界にあっては、明らかな差別化が求められ、差別化された強みが必要でした。
社長就任5年後に経営を学ぶために日創研に行き「ありがとう経営」と出会い、自社で取り組むことで、「理念」で差別化を図ることを決意されました。
理念が浸透することで、理念を基にした仕事、商品が生まれ、そこに他社にはない「強み」が生まれてくると考えて取り組まれています。
株式会社インデップの理念は「服は人をつくる」で、ここには2つの意味があり、一つは服がその人の個性を引き出すお客様にとってかけがえのないもの、お客様の人生を作っていくものだということと、そういう価値を感じて仕事を商品を作っていける人を育てるということです。
事業ドメインにも掲げている通り「頑張るお母さん」が最も大切にしているテーマであり、お母さんの持つ愛情とお母さんへの感謝という価値観を通して「人をつくる」ことに取り組まれているということでした。
これは父親の「創業の精神」から生まれたものだということです。
「故郷の母に着てもらいたい服」
高度成長の波は、地方都市福山にも確実に及びつつあった。 |
(株式会社インデップHP 会社案内「創業の精神」)
「ありがとう経営」は理念経営を実践していく上での具体的な取り組みであり、誰の何のための仕事をしているのかという自分たちの仕事の意味を社員全員で共有し、意味を実感しながら日々仕事をしていく、というものです。
荒井講師は「ありがとう経営」の定義の中で、共通の目的を持ってコミュニケーションの仕組みを作り、信頼関係を構築することでシナジー(相乗効果)が生まれるようになる、これらの全社の取り組みが良い社風を形成すると顧客満足・社員満足が高まり業績向上に結びついていく、ということを説明してくださいました。
目的の共有(理念)×価値観の共有(健全性)×目標の共有(チーム)=相乗効果を生み、これが成果を生み出す強い社風を作るということでした。
このシナジーを生み出す仕組み、取り組みこそが自立した仕事ができる人財を生み出すものだということを教えて頂きました。
その取組みの中で効果的なツールとして「13の徳目朝礼」を勧められ、会場の参加者全員でグループになって実際に朝礼を体験しました。
参加の多くの方は自社で取り組まれているようですが、まったく違う会社の人とやることで新鮮な気持ちと新しい発見があったという意見が出されました。
質疑応答の中で理念経営を進めていく中で、どのような人を評価すべきか、という質問がありましたが、荒井講師は「他責にしない人」を挙げ、それば「すべて自分がやろうとするのではなく、自分にできることを考える、自分がどう動けば全体最適となるのかを考えて動ける人」のことだと教えてくださいました。
自立型人財というのはつまりこの他責にせず自責で行動できる人であるということ、そういう人財を育てるためには理念の共有が欠かせない、「ありがとう経営」こそがその育成法なのだということを教えて頂きました。
荒井講師、本当にありがとうございました。
また、暑い中集まって頂いた会員の皆様にも感謝申し上げます。
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