【社会保険労務士/大谷さん③】
テックジャパン事件(平成24年3月8日の最高裁判決)によって、定額残業代について厳しい運用が求められることになりそうです。
「定額残業代」とは、使用者が労基法37条に定める計算方法による残業代を支払う代わりに、毎月決まって支払う給与や手当等に一定額の残業代が含まれているとする給与の支払い方のことです。定額残業代を手当として支払う場合は、固定残業手当やみなし残業手当という名称を使うことが多いようです。
「うちは定額残業代を支払っているので問題ない」という会社でも、調べてみると「定額残業代」の要件を満たしていないケースが多々あります。
定額残業代として否認されやすいケースには以下のようなものがあります。
・基本給などに残業代が含まれているとして別手当としていない
・根拠のない金額の手当を残業代の替わりとしている
・残業代を支払っているとしているが、何時間分の残業代かわからない
・給与明細の表示上、どれが残業代なのかわからない
・就業規則や雇用契約書に規定がない
・○○時間分の残業代としているが、実際に計算してみると時給単価が合わない
・時給単価計算時の所定労働時間が実態と合っていない
定額残業代として認められるためには以下の要件を満たしていることが望ましいと言えます。
・就業規則や雇用契約書で手当の名称や金額、何時間分かを明確に規定している
・給与明細の表示上も基本給などと区別を明確にしている
・雇用契約書や昇給辞令に時給単価を記載している
・手当の額は「時給単価×1.25×固定残業の時間」以上の金額となっている
・定額残業代の仕組み導入時に、従業員の個別の合意(書面)を得ている
・入社時にきちんと説明をしている(雇用契約書で署名をもらっていると尚可)
定額残業代が否認されますと最大で過去2年分の未払い残業代を請求されることになります。
定額残業代として残業代込みで支払っているつもりの場合、月給もその分高く設定していることが多いので、その月給額で残業代を再計算されると思わぬ高額となってしまいます。
定額残業代制度を導入している会社は上記要件を満たしているか再チェックしてみてください。
また定額残業代制度を導入せずに残業代を支払っていない会社は、定額残業代制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
社会保険労務士大谷事務所
所長 大谷雄二
http://www.ohtani-group.com/


