4月13日に渋谷区立商工会館において4月例会が開催されました。
工藤昭彦さんが委員長を務める経営計画委員会担当の経営計画書作成について学ぶものでした。
小雨の降るあいにくのお天気でしたが、通常よりも早い時間のスタートにもかかわらず、沢山の方に参加頂きました。
司会は経営計画委員会 副委員長の森本公子さん、開会宣言は藤倉泰徳さんです。
狩野刀根男会長の挨拶の後、工藤委員長から今回の講師のご紹介がありました。
今回の例会は3部構成で、第一部は経営計画書についての講義をして頂きました。
渡部さんは東京経営研究会入会後に分邦した埼玉経営研究会に移られ、会長も務められました。
今回の例会内容も、これまで埼玉経営研究会で実践されてきたことだということでした。
渡部さんは上場企業に勤められた後に現在の会社(渡部容器株式会社)に後継として入社されましたが、その経営の違いに愕然とされ、それが今回のテーマである「経営計画書」について学ぶきっかけだったということです。
中小企業はナイナイづくしでリスクだらけであるので「弱者の戦略」が必須、景気に左右されない「自力経営」でなければいけません。
それなのに自分の会社をはじめ中小企業の多くは景気が良かったからたまたま業績が上がった、という行き当たりばったりの「他力経営」をしている。
強い会社とは規模ではなく、危機意識を持って環境に対応していく会社であり、リスクを多く抱えた中小企業こそしっかりと戦略を立て、計画的に経営をして毎年会社を強くしていかなければならないと力説されました。
経営計画書は「理念」と「利益」の2つの「り」で構成されています。
理念を確立し、その理念から戦略を立て、実行管理していくための計画書であり、これを作り管理していくのが経営者の仕事だということでした。
ただし、その戦略を実際に実行するのは社員さんです。
「組織はその存在に価値があるのではなく、成果に価値がある」というドラッカーの言葉を引用して、その成果は人材の質が決める、つまり実際現場で働く社員さんが理念を理解し、その理念を元に立てられた戦略を正しく理解できるように伝えられるかが重要だということでした。
「事業」が何か、「ニーズとウォンツの違い」は何かといったことを社員さんにキチンと答えられなければ、社員さんは「利益」の意味や根拠を理解することはできず、計画は実行されることはありません。
計画書を作ることだけでなく、社員さん誰が見てもわかるように示すところまでが経営者の仕事だということでした。
その上で経営計画書には5つの要素が求められるということでした。
- 一貫性
- わかりやすさ(ストーリー性)
- 将来に期待が持てる(ワクワク感)
- 全社員の心が一つになる
- 自社を強くする
また、先のことに考えを巡らせ、仮説を立てて現実とのギャップを測り調整していくという科学性が経営には求められているので、「中期計画」が必要なのだということでした。
第二部は東京経営研究会の会員で鍼灸整骨院を経営されている眞田忠弘さんの経営計画書の発表と講評でした。
講義の中でもありましたが、また多くの計画書でも見られることとして計画書の「一貫性」に指摘がありました。
これは書いている内容に矛盾が無いか?、ということで、述べていること(理念)とやろうとしていること(戦略・利益計画)に矛盾があり、実行する社員さんが理解できなかったり、混乱してしまうということでした。
また、自社の「強み」とは顧客のニーズに則したもの(顧客の視点)で、競合
同時に「弱さ」という点も、競合他社との比較からあぶり出し、どのように強みとしていくかを「課題」としてを考えないといけないということでした。
さらに、市場環境の認識についても世間一般的なトレンドを書くのではなく、自社の顧客の変化の推移からニーズを予測し、仮説を立てなければならないということでした。
これら一貫性、科学性の無い計画の結果というのは、その時々の環境による「
そして、何度も繰り返しおっしゃっていたのは、計画書は自分目線=自分しかわからないものではなく、「社員の目線」になっていないと伝わらないということです。
実行するのは社員さんなので、社員さんのことを考えて作り、やる事が多い、項目が多い場合は絞らなければいけないということでした。
第三部は経営支援室の田中正吾副室長、監事の藤野隆司さん、経営支援室の太田和隆室長にも加わって頂いてのパネルディスカッションでした。
大手企業の模倣はなぜいけないのか?、という質問に対して渡部さんはご自身の経験から答えられ、中小企業と大手企業では業績も社員の質も社風も違うので、真似をしてもうまくいかないということでした。
中小企業はとにかく社員に伝わるように作らなければならない、理念の浸透も計画書も社員に対して、そして
また、中々決めたことが進まないということについては、チェックすべき点をキチンと決めておき、仕事の中の見るべきところを決めておくことだということでした。
加えて、お客さんのニーズが何によって変わるのかをしっかりアンテナを立てて見ていくことも大切だということでした。
そして、経営計画書を作る前に必要なこととして、社員に「働く喜び」を理解しているのかを確認し、もしそうでなければまずは「働く喜び」を経験させることだというお話がとても印象的でした。
例会後に小林和道副会長から講師の渡部さん、さらに経営発表をして下さった眞田忠弘さん、そしてパネラーとして出演して頂いた田中正吾さん、藤野隆司さん、太田和隆さんに謝辞とお礼の品が渡されました。
最後に経営計画委員会の齋藤学さんの閉会宣言にて無事終了しました。
長時間の例会でしたが、メリハリの効いた内容で時間を忘れ、とても充実した例会でした。
講師をつとめて頂いた渡部達巳さん、本当にありがとうございました。
また、参加いただいた会員の皆様にも感謝申し上げます。
【出席数】
会 員 :52名
オブザーブ :23名
合 計 :75名
次回5月の例会は、今回も出演して頂いた田中正吾さんを講師に迎えての例会です。
是非社員さんとご一緒にご参加下さい。