【社会保険労務士/大谷さん④】
先日の朝の情報番組で、従業員のSNSへの投稿が企業のイメージダウンにつながるケースについて特集を組んでいました。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とは、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のインターネット上のサービスや、そのようなサービスを提供するウェブサイトのことです。代表的な例はフェイスブック、ミクシィ、ブログ、ツイッター、電子掲示板などです。
番組の特集で紹介されたケースは、次のとおりです。
・ローソンのフランチャイズ店のアルバイト従業員がアイスクリーム陳列冷凍ケースに入り、中の商品を下敷きにして寝転がる写真をフェイスブックに掲載したところ、炎上(※)。ローソン側は、この店員の解雇要求とフランチャイズ契約の解除をしました。この店舗は現在営業していません。
・お弁当のほっともっとの従業員が冷蔵庫で横たわる画像や食材で遊ぶ画像をツイッターに投稿し、炎上。ほっともっとはツイッター上で謝罪。
・バーガーキングのアルバイト従業員がバンズの上に寝そべっている写真をツイッターに投稿し、炎上。バーガーキングは、公式サイト上にて謝罪。写真の投稿者および該当店舗には、すでに社内調査にもとづき厳重な処分を下したとのこと。
(※)インターネット上でいう炎上とは、非難・批判・誹謗・中傷などのコメントが殺到することです。
少し前にも大手ホテル内の飲食店アルバイト社員が、有名芸能人の来店を個人のツイッターにつぶやいてしまい問題になったケースがありましたね。
会社は、このようなことで評判を落とし、信用を失い、取引停止や売上減少を招いてしまいます。
SNS上に何を書くかは本来個人の自由です。しかし、従業員は職務専念義務や守秘義務、会社の秩序・信用を守る義務を負っています。ですから、会社が従業員のSNS利用について、職務に専念させる目的や不祥事の発生を防止する目的のために必要とされる範囲で就業規則等により規制することは認められると考えられています。しかし、不適切な書き込みをした従業員に対して就業規則に従って懲戒処分を行ったとしても事後処理に過ぎません。大切なのは未然防止です。
未然に防止するために、会社はSNS利用についてのモラルや心構え、発信する情報についての自覚と責任、問題発生時の対応方法などのガイドラインを策定し、パート・アルバイト等を含めた全従業員に対して教育・研修を実施すべきです。また、このような投稿の多くは学生アルバイトによるものなので、学生アルバイトの多い会社は特に早急な対応が必要です。
社会保険労務士大谷事務所
所長 大谷雄二
http://www.ohtani-group.com/