2024年活動テーマ「不易流行〜価値共創の未来へ」

メンバー導入事例
【株式会社京王電業社】

「13の徳目」朝礼 導入のきっかけ

4年ほど前に日創研の研修に行き始め、そこで朝礼を知って、最初は自分一人だけで「日記」のようにして始めました。
徐々に参加人数を増やしていき、パートさんも含めた全体でやるようになって2年ぐらいになります。

2年前に「徳目朝礼大会」の東京代表チームのリーダーをやったのですが、その時に監督をして頂いた杉山浩一さんから「徳目朝礼」の本質についてのレクチャーを受け、改めてこの「徳目朝礼」には学びが多いということを知りました。
現場のお客様とのやりとりなどを知ることもできるし、経営判断の材料にも成りうるようなことも引き出すことができる、とても良いツールであることがわかりました。
「徳目朝礼」によって良い雰囲気が作れれば、自然と色々な気づきが出てくるということが体験できたので、全員でやることにしました。

最初は「日記」でいいから、日報代わりに気づいたことを毎日書いていくようにお願いしました。
その上で、毎月の会議の中で私が徳目について学んできたことや他でやっていることを伝え、自分たちなりのアレンジしながら続けています。

どうしても「かしこまった」雰囲気になってしまうので、最初に「所感」を入れたり、リーダー決めのジャンケンを入れたり、話しやすい雰囲気になるような工夫をしながら取り組んでいます。
朝礼は社員さんだけでなく、パートさんにも入ってもらっていますが、パートさんにいきなり質の高い答えを求めても、例えば経営のことについて考えてもらうというのは会社として「らしくない」と思ったので、それよりもまずは「話しやすい場づくり」を考えて取り組んでいます。
パートさんに合わせているので、社員さんにとっては少し物足りないとおもっているかもしれませんが、それぐらいがちょうど良いと考えています。

今日(取材当日)参加している皆の意見を初めて聴きましたが、正直驚いています。
皆がキチンと考えて、「徳目朝礼」が求めるところの「共有」であったり「承認」について理解をして、朝礼によって変わっていっていることを理解してくれていましたから。

経営上とても役に立つ朝礼

私が学んだ中では、「昨日の気づき」で出てくる答えは深掘りしていくと会社の問題点が出やすい。
「会社の中でこんなトラブルがあったので反省、次回からはこのようにします」といったことを結構皆が書いてくれるわけですが、それはそのまま会社としての改善点につながります。
ですから、発表の時に皆の意見をメモしていることが多い。

業務フローや作業手順などの問題点や改善点が色々と出てくるので、経営上とても役立っています。
「理念と経営」の勉強会でもそうですが、皆に「書いてもらう」ということで全員の状態が掴みやすいですし、特に現場から離れた経営者にとっては現場の状況がわかり、今何がおこっているのかを知ることができる良い機会でありコミュニケーションです。

でも、私からはあまり「ああしろ、こうしろ」ということは言いませんし、求めません。
とにかく何でもいいから書いて欲しい、というだけを伝えて「毎日書く」ということだけを守ってもらっています。
返事は書いても、書いてくれた内容についてとやかくは言いません。
そうすると、パートさんはこれまでそれほど何も言わなかったのですが、色々と言ってきてくれるようになりました。

ただし、「徳目朝礼」は人財育成が目的なので、具体的な業務に関する情報共有する場が無いということがウイークポイントで、そこは自社なりの情報共有の場を作って、今はLINEを使って朝礼で共有しきれなかったところをやり取りできるようにしています。

明るい雰囲気の中で人は伸びる

「13の徳目朝礼大会」で求められているものとは少し違っているのですが、私は元々今回のような「明るい(雰囲気の)朝礼」を目指していましたし、「明るい雰囲気の中で人は伸びる」という考えがありました。
「明るい場づくり」を一番に考えていて、それによって皆から自然に意見が出るようになり、意識が変わっていく、と考えています。

だからこそ、社内の朝礼ではジャンケンなどを取り入れたりしてきたわけですが、今回それを大会の中で東京のチームだけリーダーが引っ張っていって明るい雰囲気を作っていくということにしたことで、他のチームとは違って断然「明るい朝礼」でした。

これは日創研が意図するところとは外れたものだったとは思うのですが、結果的に東京チームが優勝した。
それは、東京チームが自分たちの「明るい朝礼」を通して会場全体の雰囲気がその元々あった「前提」のようなものさえ消してしまったからだと考えています。
それだけに、この優勝は自分の考えに自信が持てましたし、今回のような「明るい朝礼」「明るい場」の良さ、力を改めて実感できました。

本来は「マネジメントコーチング」なので具体的な数字を入れたりすべきなのですが、現場の社員さんやパートさんのことを考えると、それよりも「明るい雰囲気の朝礼」の方が伸びてくると思います。
だから今回の優勝以降は東京チームでやったように「昨日のありがとう」を一人だけではなく、すべての人が発表するようにしました。

人が伸びる、チームが伸びるというのは「明るい場」だということを確信しました。
自分で判断してやれるという「自主性」もそこから生まれるものだと思いますし、実際最近はパートさんでさえも「これやっていいですか」と積極的に自分たちで判断して言ってくるようになっています。

経営者も共に学ぶ姿勢を

でもこれは朝礼だけの効果ではなく、それより前から社内で「経営発表」をするようにしたことで下地があったからだと思います。
また、月1回の会議にもパートさんに参加してもらって意見も出してもらうようにしています。

さらに、以前はパートさんにも数字目標を持たせていましたが、うまくいかなかったので、今は数字目標は全体で共有し、その達成に向けての重点項目を決めて、その目標をそれぞれが持つようにしました。
そうすることで自分がやるべきことがわかり、それを満足させるためにどうすればいいのかをそれぞれ考えられるようになり、それが社内の「場づくり」によってより積極的になって伸びていきました。

「徳目朝礼」だけでなく何事も社内に導入しようとする時は、経営者自身も含めた人財育成のため、経営者自身が学ぶために導入するんだ、と考えて取り組んだ方が良いと思います。
社員さんのため、社員教育のためという思いが先行すると「やらせよう」という気持ちが強くなりがちですが、「一緒に学ぼう、学ばせてもらおう」というスタンスでいけばうまくいくと思います。

皆が一所懸命書いているから自分も頑張って書かなければいけないし、そうすることで書いてくれたことについては活かしていこうという気持ちに自然になっていきます。
また、中身の「質」にはこだわる必要はなく、とにかく地道に一緒に続けていくことで自然と何か改善が出てくるでしょうし、取り組み自体が良くなっていくと思います。

(お話 株式会社京王電業社 専務取締役 福田順亮さん)

【現場の方の意見】

「ありがとうの言葉」を毎月応募していて、現在掲載22回目となっている。
全員が書く「ありがとうの言葉」を拾い、組み立てて応募、18ヶ月連続で掲載された。
連続掲載は途切れたが、現在は掲載回数を伸ばすことにして継続中。

今日一日のことをまとめるのが大変ですが、今日一日あったことの中でも伝えたいことを「絞り込んでまとめる」というのを皆が書くことを見て学ばせてもらっています。

「今日の徳目」を書き始めてから、今日すべきことは何かということを前日から考えられるようになったこと。
また「きづき」を書くことで良かったことや反省点を毎日振り返るようになり、反省点は明日以降の仕事に活かそうとする習慣が身に付いてきました。

「(昨日の)ありがとう」は普段感謝はしていても口にだすことが中々できないものですが、それが「この場を借りて」伝えることができるのでとても良いことだと思っています。
「きづき」についても、それぞれが仕事の中の良かったこと、悪かったことをまとめて発表することで共有され深いコミュニケーションが行われていると思います。
また、この「発表の場」があることで仕事をより「意識して」「考えて」できるようになっていると思います。

「今週の質問」は普段の生活では中々考えないようなことなので、一つ二つは答えが出てきても三つ目四つ目、週末になるに従って無理にでも絞り出さなければならないので、「考える」ということが必要になってきます。
頭を使って考え、まとめて書くという習慣をしっかりと身につけていければと思います。

 

インタビュー動画はコチラ


【取材後記】

「人はルールに従うのではなく、場(の空気)に従う」
何事も良いものになるのかどうかは、導入する経営者の気持ち次第だということを痛感しました。
だからこそ、経営者である福田さんが一番勉強になっているということがよくわかりました。
また、意見を引き出すための質問や明るい雰囲気を作るためにはどうすべきかをその場でとにかく考えているというのが見ていてよくわかりました。

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