株式会社てっぺんの大嶋啓介さんは本業の居酒屋てっぺんでの「本気の朝礼」で一躍有名になり、現在はあらゆる方面の人財育成の場で幅広くご活躍されています。
冒頭の挨拶でも日創研への感謝の言葉を述べられていましたが、日創研で学んだことでその朝礼に始まり現在の活動の「志」「使命感」を学ばれ創業されたということです。
30代は居酒屋から日本を元気にしたいという思いで居酒屋てっぺんを創業し「本気の朝礼」でたちまち有名になると「居酒屋甲子園」をプロデュースし、全国の居酒屋で働く人たちの仕事にかける情熱をぶつけ合う場をつくり業界を大いに盛りあげました。
40代になると若い世代に経営を任せ、「子供たちに希望を与えたい」という思いから学校公演を中心に活動をされています。
大嶋さんの講演スタイルは「参加型」ということで、講師が一方的に話すのではなく、参加者が意見を交わしながら進めるというもの。冒頭から参加者全員が積極性を高められるように承認の拍手やハイタッチなどの動作を全員でやることで場の空気は一変、講師からの質問に対して最初から会場全体がディスカッションで大いに盛り上がりました。

日本にも古来よりあった夢を叶える習慣

最初の質問は「この一年をどのような年にしたいか」「そのためには何をするのか」。この質問は夢や希望、計画を叶えるためには何をすればいいかということを問うています。大嶋さんの答えは「予祝」という聞き慣れないものでした。
この「予祝」は実は日本古来の考え方、取り組みで辞書にも載っています。

主として小正月に,年間の農作業のしぐさを真似たり,木の枝に餅などをつけ実りを表したり,害獣を追うしぐさをしたりして,その一年間の豊穣(ほうじよう)を祝い願う行事。庭田植え・繭玉(まゆだま)・鳥追いなど。
(三省堂 大辞林より)

大嶋さんはこのことを作家の「ひすいこたろう」さんの著書から知りました。
予祝とはもともと秋の豊作を願うための儀式であり「前祝い」のことです。その中で現在でも世間一般に行われているものが「お花見」や「盆踊り」で、これらはもともと秋の豊作の予祝として行われてきたものだということでした。
大嶋さんはスポーツにおけるメンタルについて学ぶ中で「心」の重要性を知り、心の状態がパフォーマンスに影響を与え結果となって表れてくること学びました。日創研での可能思考研修でもそのことを学びましたが、日本人は古くからこのことを理解し実践していたというわけです。
良い結果を得るにはまず心から、先に良い結果をイメージして喜び楽しむことでその後の行動が良くなり良い結果が生まれる。大嶋さんはこの日本古来の文化を大事にし、これからの子供たちに伝えていこうとしています。
そこで、最初の質問「この一年をどのような年にしたいか」に対しての予祝、今度はそれを今年の年末を想定して「過去最高の一年になった」と過去形で語り合い喜びあうことにしました。

フィギュアスケートの羽生結弦選手もオリンピックに向かう飛行機の中で、他の誰もが寝ている中で一人金メダル獲得の予祝をして号泣していたそうです。また、大嶋さんは、北京オリンピックの女子ソフトボールの選手たちに朝礼の研修などでサポートをしたことがあるそうですが、彼女たちもこの予祝によるイメージトレーニングが行われていました。大事なのは、予祝の中で目標を達成した時に「誰が喜んでくれて誰に感謝を伝えるのか」ということを明確にすることでその人の才能や可能性を伸ばし、諦めない力、誰かを喜ばせたいという「意志のスイッチ」が入るということでした。予祝の最高は「感謝」だと大嶋さんは言います。誰に感謝し、感謝を伝え喜ばせたいかというのが最高の予祝です。
大嶋さんは現在高校野球のメンタルコーチもされていますが、50校ほどの指導先のうち15校が甲子園に出場しているとのことでした。それ以外でも受験生や企業の社員研修でもこの予祝についての研修を行っていますが、その中の一つに「本気のじゃんけん」があり、元々は「本気の朝礼」の中でやっていたものをこの予祝を取り入れてじゃんけんの勝ち負け関係なしに最高の結果を得たと想定して「本気で喜ぶ」というのを取り入れています。

リーダーの不機嫌と深刻さがチームを壊す

心の状態がパフォーマンスに影響を与え結果を左右するわけですが、では最高のパフォーマンスを発揮する心の状態とはどういうものなのでしょうか?
大嶋さんによるとそのこころの状態は3つあり、一つは「強気」、もう一つが「冷静」、最後で最も影響力のある「楽しい」ということでした。予祝をすることで「強気」の状態にまで高め、同時に集中力を高めていき「冷静」な状態で取り組み、「楽しい」という状態、楽しんで取り組むことで最高のパフォーマンスを発揮させるコツだということでした。
作家のひすいこたろうさんは「夢が叶うコツ」は「面白がること」と言い、夢や目標が最も嫌うのが「深刻さ」だと言っています。大嶋さんは企業研修や講演によく行かれますが、その会社の従業員さんが「やらねばならない」という意識のところとワクワクして「やりたくてたまらない」という意識のところではパフォーマンスはまるで違うといいます。だからこそ「やりたくてたまらない」状態を作るのが最高のリーダーのスキルの一つだと大嶋さんは言います。そのためにもリーダーはワクワクして仕事をしなければなりませんし、リーダーこそ予祝をして「意志のスイッチ」を入れないといけないわけです。
このことは大嶋さんのメンタルコーチの師匠である西田文郎さんから教わったことで、
「成功したからワクワクするのではない、ワクワクするから成功するのだ」
と言い、潜在能力や可能性を発揮させるためにはこの脳にワクワクさせることだと言っています。そしてこのワクワクには5つあります。

  1. 夢や目標(にワクワクしているか)
  2. 仕事が楽しい(のでワクワクしているか)
  3. 困難やピンチ(の時にワクワクしているか)
  4. 自分や仲間の可能性(にワクワクしているか)
  5. 誰かを喜ばせたい(と思ってワクワクしているか)

リーダーは部下に対してこの5つの状態を作ることができれば、あるいはその仕組みが社内にできれば部下の可能性を伸ばすことができるということでした。

大嶋さんは日創研をはじめ、色々なところでチーム作りについて学んできましたが、その中でも特に心理学の小林正観さんから学びました。チーム作りにおいてインフルエンザよりも人に伝染するので気をつけなければいけないものとして、「あくび」「不機嫌」「笑顔」があげられています。大嶋さんは高校野球チームのメンタルコーチをしていて如実にわかるのが監督さんの「不機嫌」で試合結果は決まるそうです。子供たちは敏感なので監督さんの不機嫌にすぐ気づきます。でもそのことに監督さんは気づいていない。だから大嶋さんの研修の対象は子供たちよりも監督さんに重点をおいています。監督さんは「勝たなければいけない」という深刻な心の状態になっていて全く楽しめていない。だからこそ大嶋さんは監督さんに対して勝ち負けの拘りを取り払って楽しんで試合ができるように指導をしています。
監督さんの多くは子供たちに勇気や希望ではなくプレッシャーばかり与えてしまっている。だから子供たちの多くは実力を発揮できない。監督さんが力を抜いて子供たちと一緒になって楽しむことができれば試合内容はまるで違ってくると言います。
これは職場においても言えることで、トップやリーダーが不機嫌だと職場の雰囲気は荒れていきます。ネガティブな感情も職場の空気を淀ませ、全体のエネルギーを低下させてしまいます。それ故に夢や目標を実現させるチームとそうでないチームの差は「雰囲気の差」であり「職場の空気」であるのです。言い換えれば、夢や目標を実現させるには職場の空気を変えればいいわけです。
大嶋さんはサラリーマン時代に人間関係に悩んでいた時、社長に勧められた日創研の研修で「短時間でも本気のチームは作れる」ということを学びました。そしてチームには雰囲気作りが大事であることから研修の内容を凝縮して朝礼として取り入れたのが「本気の朝礼」であり、その後大きく飛躍することができました。大嶋さんはそのことを多くの子供たちに伝えようとしています。

朝の元気な挨拶が子供たちの未来をつくる

子供の可能性に一番影響を与えるのは家庭であり両親です。チームや職場のパフォーマンスに影響を与えるのが雰囲気や空気であるのと同じで、家庭の雰囲気や空気、つまり両親の機嫌や明るさが子供の可能性に影響を与えます。特に母親との絆が深いだけにその影響力は大きい。だからこそ子供の可能性を伸ばすのは「お母さんの笑顔」だと大嶋さんは言います。そして父親の最大の役割はその「お母さんの笑顔」を増やすこと。
大嶋さんはある小学生のアンケート調査を見て愕然としました。小学6年生に対して夢に関するアンケートをしたところ、夢がないと答えた割合は52%でした。また、別の調査では日本は子供の自殺が世界で一番多く、その理由は「希望が持てない」ことだということです。では、子供がそれほどまでに希望を持てなくなった最大の理由は何なのでしょうか?
それは「大人の疲れた姿」でした。
また、大嶋さんは研修中に聞いたアンケート結果にも驚かされました。それは世界の子供に対して「大人を尊敬しますか」という質問に対して、「はい」と答えた世界の平均74%に対して日本はダントツの最下位で24%でしかありませんでした。大嶋さんは研修で自分の可能性に気づき創業するにあたって、このアンケート結果から大人が明るく元気に働けるようにならなければならないと強く思いました。大人が輝けば子供に希望を与えることができる、ならば日本一元気な日本一大人が輝けるお店を作ろうと決意しました。
今では学校に講演に行くだけでなく、修学旅行でお店に来てもらえるまでになっています。また、毎日親子で楽しくできるように家庭版の「本気の朝礼」も作りました。

また、福岡のある小学校教諭はこの「本気の朝礼」を担任しているクラスで実施しています。その先生は一番最初に受け持った児童が卒業後高校生の時に自ら命を断ってしまったという過去を持っています。卒業後に自分のところに相談に来てくれたのに守ってやれなかったことを悔やみ、一時期教師を続けることができなくなりました。その子の遺書にあった「同じような子供を助けて」という言葉に突き動かされ、指導方法や心理学を手当たり次第に学び、そこでてっぺんの「本気の朝礼」に出会いました。元気な挨拶の大切さ、そして朝礼の重要性に気づいた先生は敢えて難しいクラスを受け持ち、子供たちと元気な朝礼「きらきら朝礼」をすることで崩壊していたクラスを見事に復活させました。
大嶋さんが実際に見学に行った時のビデオには元気いっぱい朝礼で挨拶と発表をする子供たちの姿がありました。また、その後の「朝礼を始めて変わったこと」について子供たちが発表していましたが、この朝礼で挨拶訓練をする前は恥ずかしがり屋で誰ともおしゃべりできなかった、だから友達ができなくて寂しかった、ある子はアレルギーで食べられない給食ですら先生に伝えることができないほどだったのが話せるようになった、おしゃべりができるようになって友達が増えた、自分から挨拶ができるようになって「ありがとう」と言われるようになった、と涙ながらに話してくれました。
大嶋さんは可能性を伸ばす方法は「その人の可能性を信じる」ことだと言います。この福岡の小学校教師も子供たちの可能性を信じたからこそ「本気の朝礼」を子供たちに与え、子供たちが持っている元気さや明るさ、素直さを引き出すことができ、クラスと子供たちを救うことができました。

感謝の心を表現することでスイッチが入る

さらに大嶋さんは、本人が可能性や持っている能力を発揮させるには「予祝」でもあったように、その人が持っている「感謝の心」を具体的に表現させ、その人のためにやるという「意志のスイッチ」を入れることだと言います。指導をしている高校野球チームの子供たちにも応援してくれている親への感謝の手紙を書いてもらい親に読んでもらうということをしているそうです。誰でも親に対する感謝の気持ちは持っていますが、それをキチンと言葉にして出すことで意志のスイッチが入り、苦しい時こそそれがエネルギーとなって能力を発揮するということでした。
その劇的な事例として鹿児島のある幼稚園児のお話を大嶋さんが紹介してくれました。

その幼稚園では卒園式の恒例行事として10段の跳び箱を親の前で披露するというのがありました。ある年、卒園を前に家族の事情で引っ越すことになったある男の子が、どうしても親に10段の跳び箱を跳ぶ姿を見せたいと、卒園前の2月に1人だけの卒園式をしてもらい10段跳び箱にチャレンジすることになりました。実は彼のお母さんが病気で療養のために引っ越すことになったのですが、彼は病気と闘っているお母さんのために自分の頑張っている姿を見せて勇気づけたかったのです。
元々が泣き虫な彼は10段の跳び箱もそれまで跳べてなかったということで、当日の発表会でも何度もチャレンジしますが跳べる気配はありません。周りからは応援の声がさかんに起こりますが、中々跳べない彼はいつものように泣き出してしまいます。見かねた先生が同じ年長組の子供たちに力を貸すよう呼びかけると、子供たちは彼と一緒に肩を組んで円陣を組むと皆で「できる!できる!できる!」と力いっぱい叫びました。そして意を決した彼が勢いよく跳び箱に向かって走っていくと、彼の体は10段の上を越していきました。
その姿をお父さんが撮ってくれたビデオで見ていたお母さんはその後病気も治り、また一緒に暮らせるようリハビリを頑張っているということでした。そして彼も後日のインタビューで「お母さんが喜んでくれたことが嬉しかった」と笑顔で話していました。

大嶋さんも日創研の研修を受けた時に初めて父親に対する感情が溢れ出たことでスイッチが入ったと言います。大嶋さんのお父さんは警察官だったのですが、大嶋さんが小学生の頃に亡くなられました。でも心にはずっとお父さんへの思い、お父さんに自分の姿を見てもらいたいという思いがあり、お母さんへの感謝の気持ち共にそれを表に出した時にその思いが大きな原動力になりました。
大嶋さんはこれからも一人でも多くの人が自分の可能性に気づいて、可能性に向かって「可能思考」で生きて行く人をたくさん増やしていくことが日本の未来に繋がると信じて活動していきたいということでした。

大嶋啓介さん、ありがとうございました。
また、ご参加頂いた皆様にも改めて感謝申し上げます。

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