今回は昨今の「人材採用難」という経営環境を背景にした例会で、会員企業の採用活動についての取り組みを共有して、そこからそれぞれの業界に応じた解決のヒントを考えるという、東京経営研究会初の取り組みでした。
この「人材採用難」という問題は、少子高齢化による労働人口の減少に加えて、少し以前から始まった「働き方改革」による時短勤務、さらに物価高による仕入れ価格の高騰といった経営課題の先に生じた問題で、特に資金力や知名度の低い中小企業にとっては非常に厳しい問題です。
大手企業であればお金をかけて募集広告や企業イメージを広めるプロモーションを展開し、かつ好条件を提示することで人材を集めることができますが、中小企業にはそれに対抗するだけの力はありません。
近年のITの発達、SNSの普及によって中小企業でも大手企業に負けないプロモーションを展開することが可能になっています。
ただ、就職活動についてはこれまで日本独自の慣習があり、就職する側、雇う側双方が、言わば「安定した」流れの中で活動していることが多く、そこから外れた考え方、やり方に取り組めていないのが実情です。
そこで今回は同じように苦労しながらでもさまざまな工夫をして採用活動を行っている会員企業に、その取り組み事例を発表・共有してもらい、ディスカッションを通して新しい情報、意見、アイデアを出し合うことにしました。
発表してくれたのは以下の3社で、いずれも社員さんが発表してくれました。
株式会社水工房さん(設備工事業)発表:加藤 歩さん
株式会社NTSロジさん(運送業)発表:駒村 咲さん
株式会社マルタさん(農産物卸売業)発表:石川 晃さん
発表の内容はお伝えできませんが、いずれも決して人気業種とは言えないため、まず人を集めるところから苦労していることは確かです。
その上で、いかに対象である就活者にアプローチしていくか、マーケティングの観点で会社と就活者の希望がマッチングする取り組みを試行錯誤していました。
すぐに答えが出る問題ではなく、継続することで対象者との距離(ギャップ)を縮めていけるかですから、ポイントは「いかに早く取り組めるか」であることがわかりました。
また、知名度が低く資金力もない中小企業はSNSなどをうまく活用し、人を集めるよりも「いかに興味を持ってもらうか」を考え、繰り返し実行していくというのが重要だということでした。